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現代GP「東北アジア地区交流による実践的技術者育成」活動記録

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 14.韓国東義科学大学訪問(平成20年11月23日~26日)
経営情報工学専攻
1年 福田 香織

1.はじめに
 私たち、学生5名と教員6名は、11月23日から3泊4日の日程で、東義科学大学で研究発表会を行い、韓進重工業、POSCO(浦項製鉄所)を訪問しました。その活動内容を以下、報告します。宇部高専では平成19年から平成21年の間「東北アジア地区交流による実践的技術者の育成」という現代GPプログラムを行っていて、今回の韓国訪問はその一環になります。

2.日程
 まず、日程は次の通りです。23日と26日は移動日になっているので、実施的な活動日は、24日、25日になります。
 ■ 日程 2008年11月23日(日)~26日(水)
  23日:出発日(博多港からビートルで韓国(釜山)へ)
  24日:東義科学大学訪問
      午前 施設見学 午後 共同シンポジウム
  25日:工場見学(韓進重工業,POSCO)
      慶州見学
  26日:帰国日(釜山港からビートルで博多港へ)

3.東義科学大学訪問
 東義科学大学は、韓国釜山広域市にある日本でいう短期大学あたる学校です。釜山の中心部でロッテデパートのある西面から比較的近いところにあります。東義科学大学は、自動車学科、e-経緯情報学科、観光学科、食品管理学科など様々なニーズに対応した学科があり、学科と企業とが連携して授業を行っている点に特徴があります。わが宇部高専経営情報学科は、昨年度から東義科学大学e-経営情報学科と学術交流、学生交流を行っています。
 まず、東義科学大学到着後、李学長に挨拶しました。宇部高専と東義科学大学が学術提携を結んだ契機など、お話を伺うことができました。その後、視聴覚室に移動して、東義科学大学の紹介や産学連携についてのビデオを見ました。また、パワーポイントでの説明も受けました。
 次に、産学連携の施設を見学した。国や企業から委託されて水質調査や食品衛生管理を行っている現場を見せていただきました。東義科学大学の産学連携の特徴は、①大学内に会社を立ち上げて行っている点、②国や地域から委託された事業を行っている点、③学生も産学連携に参加して実地で技術を身につけることができる点にあるということでした。
 午後からは、東義科学大学e経営情報学科の共同シンポジウム(研究会)を行いまいした。東義科学大学と宇部高専の学生だけでなく、東義科学大学、釜山大学、東義大学、宇部高専の先生が発表を行いました。11件の発表があり長時間に渡りましたが、韓国の学生の熱心さには刺激を受けました。海外での発表は、はじめての経験なので緊張しました。プログラムは以下の通りです。
【研究発表会】
内容及び発表者
特別講演「常識としての簿記・会計」
  田川晋也(宇部工業高等専門学校)
特別講演「会計的思考の枠の理解」
  崔相文(釜山大学)
「ポストスクリプトを利用した小企業指針書製作用の標準ツール開発 」
  朴榮浩ㆍ黄熙斗 (東義科学大学)
「韓国鉄鋼産業の貿易構造と競争力」
  Hwan K.J教授(東義大学)

【学生研究発表会】
内容及び発表者
「日韓造船重機産業の比較分析」
  粟屋祐輝(宇部工業高等専門学校 経営情報学科)
「QCASを利用したNK社の全社的競争力評価」
  Unggil ParkㆍJung D.K.ㆍCho M. C.(東義科学大学 e経営情報系列)
「Probe情報システム導入時における交通流の解析」
  福田香織(宇部工業高等専門学校専攻科 経営情報工学専攻)
A study of feature on patterns of Information Systems outsourcing in Japan
  Aiko Harima(Ube National College of Technology, Japan )
「現行の韓国会計基準と韓国採択国際会計基準の主要差異と影響分析」
  安素喜 (東義大学校商経大学 経営会計学部)
「単語の出現頻度を用いた重要語の抽出とWebページの信頼度推定」
  松永奈穂子(宇部工業高等専門学校専攻科 経営情報工学専攻) 
「日韓における製鉄業の経営戦略の比較分析」
  福田悦子(宇部工業高等専門学校 経営情報学科)

 研究発表会の後は、東義科学大学主催の交流会がありました。交流会は、広安里という温泉と海水浴場のある観光地の近くで行われました。後ろに見える橋は、韓国で最大の広安大橋です。広安大橋は、カジノで有名な海雲台に行くバイパス的な橋で4車線の2層構造の橋です。スケールが大きく夜景が綺麗でした。交流会では、先生方との交流、東義科学大学と東義大学の学生と交流を図ることができました。

4.工場見学
○韓進重工業訪問
 25日は、まず午前中に造船会社である韓進重工業を見学しました。韓進重工業は世界造船会社のトップ10のうちの1つの会社で、韓国では一番古い造船会社です。はじめに、韓進重工業で造っている船(コンテナ船や軍艦)の模型とフィリピンにある新しい工場の模型の展示を見ました。次に、韓進重工業の会社の説明ビデオを見ました。その後、工場敷地内をバスで巡り、実際に船を造っているところを見ることができました。ただ、軍艦も作っているので、見学できる場所は限られていました。韓進重工業は釜山市の影島という島にあり比較的ドッグが狭いので、陸上で船の組み立てを行うなどの工夫をして仕事の効率性をアップしている点には目をみはりました。
韓進重工業 模型などの展示室
○POSCO訪問
 午後からは、高速道路で慶尚北道の浦項市に移動し製鉄会社であるPOSCO(浦項製鉄)を見学しました。POSCOは、1968年に設立された韓国最大で世界第4位の製鉄会社で、1973年に日本の八幡製鉄、富士製鉄、日本鋼管から技術提携を受けて工場設備を完成させて竣工しています。そのような歴史があるので、現在も新日本製鉄とは良いライバル関係の会社のようです。
 POSCOでは、まず会社の説明ビデオを見て、浦項工場と全羅南道の光陽市にある光陽工場の模型を見ました。その後、バスでPOSCOの敷地内を回り、説明を受けました。敷地内にはPOSCOの本社ビル、Kリーグ浦項スティーラーズのサッカー場がありました。敷地内は、緑が多く環境への配慮が感じられました。工場では熱延工場を見せていただきました。POSCOの場合、熱延工場の敷地が長く、真っ赤な鉄の塊(スラブ)がローラーを通過する回数を減らすことでコストを削減するなどの工夫がみられました。工場見学の後は、POSCOの歴史を展示した資料館の見学も行いました。時間の関係でゆっくり見学することはできませんでしたが、ビデオと写真と模型で創業からの歴史の説明を受けました。

5.歴史探索
○慶州見学
 浦項市から釜山広域市に帰る途中に、慶州市に立ち寄り、韓国の歴史について勉強しました。慶州は、新羅の都があった町で、日本でいう奈良・京都のような町です。仏国寺や雁鴨池などの歴史的な建物で有名ですが、今回は世界遺産である古墳公園を見学しました。また、7世紀中頃に築造された瞻星台という東洋に現存する最古の天文台も見ました。
6.おわりに
 今回の韓国訪問は、私にとって得るものが多かったです。東義科学大学では、産学連携が緻密に行われており地域に貢献していること、一流企業との連携により教育カリキュラムの充実を図っていることがわかりました。また、研究発表会で発表したこともよい経験となりました。韓国の企業を見学することも初めての経験でしたので、造船業や製鉄業など普段の生活とはなじみの薄い企業の見学は大変興味深かったし、韓国を支えた基幹産業なので韓国の発展の歴史もみることができました。最後になりますが、今回の訪問では、韓国の学生と交流する機会が多く、刺激を受けることが多かったです。研究発表会、西面での買い物、慶州の観光では韓国の学生に大変お世話になりました。非常に有意義な4日間でした。

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