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現代GP「東北アジア地区交流による実践的技術者育成」活動記録

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 26.H22年ハルピン工業大学威海での海外インターンシップ及び語学研修
    (平成22年9月8日~10月2日)
執筆者:学生一同

【参加者】
 学生:(生産システム工学専攻)朔聖満、藤崎功久、牟田真秀
     (経営情報工学専攻)瀧田嶺、中原拓哉、野田勇太郎
     (機械工学科)松村俊貴、(経営情報学科)片山理恵、藤本千裕
 教員:伊藤孝夫(経営情報学科)、田川晋也(経営情報学科)、南優次(一般科)

【日程】
9月8日(水)  10:00下関集合、12:00下関出発~(船中泊)
9月9日(木)  16:30青島到着、青島宿泊
9月10日(金)  10:00青島出発、バスで威海へ移動、16:00威海到着
          ハルピン工業大学の寮に宿泊
9月10日(金)~9月30日(木)威海滞在
9月30 日(木) バスで青島へ移動、20:00青島出発(船中泊)
10月1日(金)~10月2日(土) 9:00下関到着、10:00解散

【研修概要】
 23日間の威海市滞在中に、ハルピン工業大学威海を訪問し、自動車学院、海洋学院、管理学院との学術交流と国際交流室での語学研修をおこなった。海洋学院では、最初に、本校学生4人(生産システム工学2人、経営情報工学2人)が研究発表を行い、次に、ハルピンの学生が研究発表を行った。自動車学院では生産システム工学の学生3人が、管理学院では経営情報工学の学生3人が、それぞれ英語で研究発表を行い、質疑応答も英語で行った。自動車学院、管理学院とも本校の学生の発表が終わった後に、ハルピンの学生が発表を行った。また、各学院で、南先生が、アムール川の環境問題を扱う英語教材開発計画を紹介し、管理学院、自動車学院では、伊藤先生によるミニ講座が開講された。
 また、その他に威海にある自動車工場を見学した。さらに威海市近辺にある道教の聖地や大学の研究室の見学を行った。他に、中秋節の時は、学内で行われた講堂で行われたカンフーの演舞やその他学生の出し物を見学した。休みの日は、威海市の海外を散策したり、中華料理店に食事にいったりした。

【研修日誌】
9月8日(水)
 いよいよ中国インターンシップへ出発の日になった。今回のメンバーとは以前にもビザの取得の時に顔を合わせているが、上手くやっていけるのか少し不安があった。幸い下関のフェリー乗り場には全員が遅刻することなく集合し、出国手続きを済ませてフェリーに乗った。船内では時間を持て余すかと思われたが、卓球やトランプなどをしてメンバーとは初日から親睦を深めることができた。これも同じ目的を持つ仲間同士だからだと思う。台風の後だったので比較的波が高く船酔いした人もいたようだ。この日は船内で一泊した。

船内卓球の様子
9月9日(木)
 船の2日目。朝食は中国の朝食だった。正直、私には普段、日本で食べているものとあまりにも違ったので、中国の食事に不安を感じた。フェリーの中では前日と同様、トランプなどをして残りの船内の時間を過ごした。
 夕方16時30分に中国の青島(チンタオ)に到着した。中国に到着後、フェリー乗り場から出てすぐに合法的に営業しているとは思えないタクシーをしている中国人に乗せられそうになった。少し遅れて、伊藤先生、田川先生、南先生が迎えに来てくれたので、どうにかホテルまで移動することができた。
 青島のホテルは少し高級なホテルで受付の人は日本語も話すことができた。ホテル近くのショッピングセンターで夕飯を食べた。また、ホテル内で円と元の両替も行った。

青島のフェリー乗り場

青島のフェリー乗り場
9月10日(金)
 中国滞在の3日目。この日は青島のホテルから威海市にあるハルビン工業大学まで移動する。ハルビン工業大学の先生方にバスを手配していただいたので、大学まで安全に送り届けてもらうことができた。4時間近く車に乗ってハルビン工業大学に向かった。

ハルビン工業大学

留学生寮(2人部屋)の様子
 ハルビン工業大学についた日は学内見学、寮の部屋割りなどをして夕飯は歓迎会を開いてもらった。ハルビン工業大学の先生たちと豪華な中華料理店に行った。ターンテーブルを囲む本格的な中華料理をご馳走になった。
9月11日(土)
 今日は中国の文化交流ということで聖水観とよばれる場所に行った。聖水観は栄成市偉徳山脈の西麓に位置し、威海市から30キロメートル離れ、道教全真派の起源地の一つである。聖水と呼ばれる「飲むと不老不死になる」という水など中国の面白い文化を学ばせてもらった。また、道教の聖地ということで、陰陽道に纏わる場所があり神秘的な感じがしたし、自然との調和がとれた風景を見ることが出来た。山の上からの見晴らしがよく、きれいで中国の広大さを思いしらされた。

中国の伝統的な聖水観

聖水観での記念撮影
9月12日(日)
 この日は、発表の日に備えて休みの日となり、校内周辺を散策したり、発表の資料の確認や、発表練習などの時間に当てることとなった。校内の教室も複数見学したが、中国の学生の授業の取り組みを見ると、日本の学生と比べて学習に対する意欲や姿勢がとても高いのが伝わってきた。
9月13日(月)
 海洋学院の学生と研究交流を行った。海洋学院は化学や生物に関する研究を行う学院で、本校の物質工学科のような研究院である。今日の研究会では、中国の学生からは化学、医療に関する発表が多かった。宇部高専からは滝田、中原、藤崎、朔の4名が発表を行った。互いの研究に関してディスカッションを行い、良い刺激を受けた。

海洋学院での発表会の様子
9月14日(火)
 自動車学院の先生方、学生達との集会があった。最初は学生達のみで集会が進行した。生産システムの学生3名と、ハルビン工業大学の学生4名が交互に発表を行った。後に合流した南先生により宇部高専の紹介と、学術交流のプレゼンテーションが行われた。
 昼食後は、皆で威海国际海滨浴场へ行き、ビーチサッカーやバレーボールをして、親睦を深めた。サッカーではハルビン工業大学の学生は非常にタフだった。夏は週に2日、ビーチでサッカーをしているそうである。

南先生の研究説明会
9月15日(水)
 午前中は、ハルビン工業大学内の実習工場や各研究室の見学を行い、説明を受けた。実習工場では、多くの自動車があり、中には今、学生たちが徹夜続きで組み立てているというレーシングカーもあった。いくつかの部品は学生による自作で、軽量化、強度の向上など、パフォーマンスの向上を図っていた。後日、幸運なことに試運転の様子を見ることができた。音はうるさかったものの、しっかり走っていた。
 その後、様々なタイプのエンジンや、トランスミッション等が置いてある地下実習室を見学した。機械類の内部構造を直接見ることができるようになっていた。全てを取り払われた車体や、以前に作られたレーシングカーを見ることができた。実習室はまだまだ広く、今後も様々な物が置かれていくそうである。この他、キャンパス内で人形を用いた自動車事故実験を行うなど、実践的に学ぶ環境が整っていることが見受けられた。
 研究室見学では、血液成分標定器や、赤白血球分離器、白酒製造器、多センサのライントレースカーなどを見せていただいた。血液成分標定器は1台25万元でシンガポールへ50台ほど輸出しているそうである。その精度は99%程度である。

自動車学院エントランスにて

自動車実習工場
 この日の午後、威海广泰という会社を訪問し、工場を見学し、色々と説明を受けた。この会社は、空港設備製品を生産しており、バスやタラップ車、トーイングカー、リフト車、給油車、給水タンクなどがあった。生産品の中には、ハルビン工業大学の教授が設計したものや、神戸製鋼と共同開発した大型特殊車両もあった。工場内ではヘルメットを着けずに見学した。ここでも生産システムとして、看板方式が用いられていた。

威嚇広泰(自動車工場)
9月16日(木)
 この日は経営管理学院で研究発表を行った。日本からは経営情報工学専攻の3人の学生(瀧田、中原、野田)が発表した。ハルビン大の経営管理学院の学生の英語は全体的に訛りが少なくて流暢だった。そのため聞きやすい英語の発表だった。特にまた、司会を担当してくれた女子学生は、特に英語が上手であった。発表を聞く中国人学生が前日までの自動車学院と海洋学院と比べて参加人数が多く、比較的に質問をする学生が多かったような気がする。経営管理学院は、学内見学は行われなかった。

発表風景(瀧田)

質問する管理学院の学生

伊藤先生のミニ講座
9月17日(金)
 中国では毎年、秋に中秋節というお祭りが行われる。今年は9月22日から中秋節が始まり3連休になるそうだ。中秋節には、中国各地でいろんな催し物が開催され、テレビでも中秋節歌謡祭みたいな音楽の特別番組が行われていた。今年の中秋節は、いわゆる平日にあたるため、語学の授業を予定より早く明後日の日曜日から開講するということらしく、今日は振替で休日になってしまった。せっかくの平日の休みなので、そろそろそこをついてきた生活費を補充するために、伊藤先生に中国建設銀行に連れて行ってもらい、両替をしてきた。大学の前は、学生街で安い雑貨・食堂がたくさん並んでいる。携帯電話のお店を覗くと「Cony Ericcocon」とか「Sany Ericcsan」などの携帯電話が売られていたので、びっくりした。また、めがねが安かったので、みんなでめがねを購入した。
9月18日(土)
 今日は、伊藤先生、田川先生が威海を離れる日だ(南先生は、ロシアのインターンシップにも参加されるので16日に威海を出発されている。)。ハルピン工業大学の国際交流部の先生と伊藤先生、田川先生と私たち学生で集まって、事前の語学研修説明会が行われた。国際交流課の先生から今後の語学研修の日程の報告がなされ、伊藤先生と田川先生から危険マニュアルの再確認が行われた。明日から語学研修なので、日本から持ってきた中国語の参考書を見て少しだけ予習をした。まだ、中国語は簡単な挨拶程度しかできないようだ。
9月19日(日)
 今日から語学研修が始まる。語学研修初日、1週間の英語による学術交流が無事終わり、ほっと一息つく暇もなく研修がはじまる。中国で授業を受けるのは初めてだったので、勝手にスーパースパルタ教育プランを想像していたが、国際交流課の先生方は、高先生をはじめ3人の先生とも、とても温厚でとても人情深い方たちだった。これから2週間充実しそうな予感がする。ある意味安心した。
9月20日(月)
 授業1日目。今日の授業は習字だった。中国語の読みと合わせての習字の練習する授業スタイルは斬新かつ新鮮でした。中国の習字は、日本の習字と少し異なっていた。筆の持ち方や墨の色が異なっていた。また、中国の漢字は日本と異なる物が結構あった。

習字による中国語の勉強
9月21日(火)
 授業2日目。今日は通常授業だった。小テストや、個人での文章音読は、日本と変わらなかったけど、中国に行って本場の語学を学んでいるというので、気持ちが全然違う。いい感じで学ぶことができた。やはり、人は環境に影響されやすい生き物なのかと自問自答してしまった。ハルピン工業大学の語学教育は、特に、きれいな発音の中国語を学ばせるところに重点があるようなので、何回も繰り返し発音練習をさせられた。
9月22日(水)
 今日から24日までは、中国では中秋と呼ばれる祭日だったので、午前中はハルピン工業大学周辺を散策した。午後からはハルピン工業大学の先生方や学生と一緒に水餃子パーティを行った。まだ、中国語は片言なのでなかなか意思疎通するのは難しかったが、身振り手振りやこれまた片言の英語でお互い話しかけ、パーティを通してハルピンの学生とより交流を深めることができた。

餃子を作っている風景
9月23日(木)
 今日はハルピン工業大学内で行われた演芸会を見にいった。これはハルピンの学生が主体となっており、規模はそこまで大きくはなかったが、カンフー、弦楽器を用いた演奏、クイズ等、様々な出しものが用意されており、中国の文化をより深く知ることができた。

カンフーの演舞

弦楽器の演奏
9月24日(金)
 今日は中秋祭最終日ということなので、ハルピン工業大学からバスで15分程の場所にある繁華街に出ることにした。日本にいる友達と両親のためのお土産を買いにいった。繁華街には露天、電気店、スーパー、書店、飲食店、市場などがあり、ある程度のことはここで購入することができた。中国の海岸部は豊かだと聞いてたが、やはりその典型例である威海は、物であふれかえっていた。私が一番驚いたのは、芋虫が食べ物として売られていたことだ。店員の人が「好吃(ハオチー)」(日本語でおいしい)と言って売っていた。

威海の露天

食用の芋虫?
9月25日(土)
 授業4日目。いつもの授業よりも単語を多く習い、日常会話で使えるフレーズを身に付けた。やはり、この日も発音を何回も繰り返し練習させられることになった。夕方からはハルピンの学生たちとカラオケに行き、中国の歌、日本の歌、洋楽などを歌った。朴先生が日本語を覚える時は、漫画とカラオケを利用したというのを聞いていたので、我々も中国語の歌にチャレンジしてみた。どこの国の言葉にもやはり、その言葉独特のリズム感や音感があるので、歌などを使って練習するのは、語学習得の近道ではないかと思った。それにしても、ハルピンの学生は、みんなリズム感がよかった。
9月26日(日)
 授業5日目。1時限目は書法という日本でいう習字をした。中国と日本では筆の持ち方や書き方が異なった。中国の漢字は、日本と異なり簡体字なので、普段書きなれていなくて難しかった。2、3時限目はハルピン大学の近くの海に行き、海に関する単語を学んだ。いざ中国語になるとなかなか単語を覚えることができないが、実際のものを見て単語を覚えていくと比較的に覚えれる量が増え、忘れる量が減るような感じがした。

大学の近くの威海の海岸線
9月27日(月)
 授業6日目。今回から本格的に会話の勉強が始まった。会話も決まり文句は、高専の中国語の授業でも習っていたので聞いたことはあった。全般的に日本と比べたら、文法より会話や作文などのコミュニケーション力に力点を重視の授業だった。
9月28日(火)
 授業7日目。中国語の語学研修も残り少なくなってきた。威海滞在も残り少なくなったので、ハルピン工業大学の学生たちの誘いがあり、中華料理店で食事をすることになった。今回の食事は、ハルピン工業大学にメニュ-を選んでもらって、中国の伝統的な料理を食べることにチャレンジした。食事会では、中国人の伝統的な文化や考え方、若い人たちの考え方などを教えてもらい、お互いのことをよく知ることができたので、またひとつ中国の人々について知ることができた。

学内でのひと時
9月29日(水)
 最終日のため、先生のご好意で授業を自由時間に変えてもらった。そこで、先生とハルピンの学生と一緒にショッピングに行きお土産などを買った。お土産を買う時もできるだけ、習った中国語で購入する努力をしたが、中国語だけでは難しかったので、少し英語と身振り手振りを混ぜながら購入した。これが最後の威海になりそうだったので、名残惜しい気持ちになった。
9月30日(木)
 今日でハルピン工業大学に滞在できる最終日になる。といっても、朝の9時に寮を出発しなければならなかったため、早朝から部屋の片付けで大忙しだった。お世話になった先生方や寮の寮母さんにお別れの挨拶をして、一同バスで青島に向かった。
 威海から青島までは高速道路が整備されているので一本道だったが、青島に入ると古い町並みもあり途中で道に迷うなどのアクシデントもあった。しかし、無事ついて船の出港時間には間に合った。更に、今度は我々が帰りに乗り込む船が、予定通り青島につかないというアクシデントがあった。当初の予定の3時間遅れで船が青島に入港し、船の出発が予定より遅れたりしてなかなか大変だった。船に乗り込んだ後は皆疲れていたのもあり、ぐっすり寝る事が出来た。
10月1日(金)
 朝、起きて取り敢えず朝ごはんへ向かった。最後の最後まで思い出作りということで、疲れている体をおして、卓球やトランプをしたり、何となく皆で詩を書いてみたりと、とにかく楽しんだ。偶然、日本に留学にくる中国人留学生がフェリーに乗っていた。ハルピン工業大学で習いたての中国語で会話をして仲良くなれたので凄くよかった。
10月2日(土)
 朝、滞在中の部屋を片付けて船をおりた。久々の日本。空気をすった瞬間、やっぱり日本の空気は綺麗だなと感じた。税関をみんな無事抜けて、下関国際ターミナル入り口付近で解散した。
 長いようで短い23日間だった。今回の研修には、伊藤先生、田川先生、南先生にはお世話になった。また、ハルピン工業大学の諸先生、学生の皆さんにも大変お世話になった。特に、田川先生には、ビザの申請、旅行保険の選択、チケットの手配、海外研修しおりの作成などで、お世話になった。伊藤先生には、現地での生活の注意などの指導を受けた。おかげで無事に研修を終え、日本に帰ってくることができた。今回の研修は、語学の必要性を痛感したが、中国に友人が出来て自分の世界観が変わった研修であった。

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