■フォーラムの概要
平成20年5月12・13日、中国・承徳(承徳錦江文冠ホテル)で開催された「第1回中日高専(高職)学校教育フォーラム――新時期中日高専(高職)学校教育の発展と協力――」に、吉田(専攻科長)、畑村(一般科)が参加した。
本フォーラムの主催は、承徳石油高等専科学校と佐世保高専であり、佐世保高専は現代GP「日中相互交流による実践的若年技術者の育成」(地域活性化への貢献:広域展開型)の取り組みの一貫としてフォーラムを開いた。フォーラムの参加者は90名、中国側からは64名(51校)、日本からも26名(9高専)が参加し、盛大に行われた。
初日は、まず中国側から河北省及び承徳市の指導者、承徳石油高等専科学校校長曹克広校長の挨拶、日本側からは日本高等専門学校河村潤子理事、佐世保高専井上雅弘校長の挨拶があり、これに引き続いて講演が行われた。中国の高職学校からは19件、日本の高専からは18件の講演があり、講演後、参加者による活発な討論が行われた。吉田は初日の「高級フォーラム」で、「宇部高専における実践的技術者育成教育」と題し、本校の現代GPの取り組みを紹介した。
初日のフォーラム後、承徳石油高等専科学校の新キャンパスを見学し、石油学校の教員たちと情報交換を行った。2日目は、午前と午後の講演の間にポスターセッションも行われ、自由な雰囲気で日中教員の交流が行われた。
■コメント
①高職学校という教育機関
講演を聴講し、また中国の教員と交流することで、高職学校に対する理解が深まった。高職は3年生の専門学校であり、高校を卒業した学生が進学する。よって、日本の大学とも高専とも異なっているが、1年生から専門科目を勉強するという点で日本の高専と類似し、年齢的にも高専の4・5年生と重なっている。ただし、学校の規模(敷地面積、学生数、教員数など)は高専とは比較にならないほど大きく、我々が見学した承徳石油高等専科学校の新キャンパスは、日本の総合大学と変わらない規模であった。中国にはこうした専科学校が多くある。参加した承徳石油高職専科学校、防災科技学院、河北観光職業学院など学校名に「石油」「防災」「観光」などが入るが、いずれもそれ以外の理工学系の学科があり、一般教養の教員も科目を教えているとのことであった。
②他高専の教職員との交流
普段会うことのない他高専の教職員と交流することで、貴重な情報交換ができた。他高専の実情を、フォーラムの開催期間やその前後、寝食をともにしながら話をするなかで情報交換できたことは、我々にとって非常に有益であった。今後、本フォーラムに参加した教員同士や高専同士で学校を跨った教育・研究の連携が行われる可能性を期待したい。
③フォーラムのテーマ
概要でも述べたが、本フォーラムの中国側の講演は、それぞれの学校の教育理念や設立以来の歴史といった学校の紹介がほとんどであった。それに対し、日本側の講演は、教員個人、あるいはある一つの学科や部署の個別的な教育実践の報告が中心で、それ以外に学校全体の取り組み、高専間の教育連携、教員個人の研究の報告であった。日本側の発表でも講演内容がこれだけ拡散し、まして中国側との「テーマ」には開きがあった。具体的な実践報告を期待していた日本側の参加者は、中国側の講演に対しやや期待はずれであったように思う。
フォーラム閉幕式にて、第2回のフォーラムが2010年に日本で開催されることが決まった。今回は第1回目ということで、こうしたフォーラムを開催し、日中教員による情報交換、及び交流に主眼が置かれていたのであろうが、次回フォーラムでは、メインのテーマを設定し、個別テーマは会場ごとに分け行うのがよいと考える。
■日程および写真
5月10日(土曜) 福岡から北京へ
5月11日(日曜) 北京から承徳へ
5月12日(月曜) フォーラム・承徳石油高等専科学校視察
5月13日(火曜) フォーラム・ポスターセッション
5月14日(水曜) 普寧寺・避暑山荘の視察
5月15日(木曜) 万里の長城(金嶺)視察・承徳から北京へ
5月16日(金曜) 北京から福岡へ
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