現代GPトップページへ 宇部工業高等専門学校ホームページへ
TOPICS
現代GPとは
概要
活動記録

現代GP「東北アジア地区交流による実践的技術者育成」活動記録

>> 活動記録目次へ
 9.東北アジア機械産業都市連合市長会とコムソモリスク工科大学コムソモリスク
   教育大学の訪問(平成20年7月19日~22日)
生産システム工学専攻
2年 阿南 翔太
1. はじめに
 私は、7月19日、20日にコムソモリスク市(ロシア)で開催された東北アジア機械産業都市連合市長会に参加し、21日と22日にコムソモリスク工科大学とコムソモリスク教育大学を訪問しました。その活動内容を以下に報告します。

2. 文部科学省現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)について
 宇部高専では平成19年から平成21年の間「東北アジア地区交流による実践的技術者の育成」というプログラムを現代GPの一環で行っています。
 本プログラムの目的は宇部市、地域企業、及び東北アジア地区と連携して国際交流を通して世界で活躍できる技術者の育成を図ることにあります。

3. 東北アジア機械産業都市連合
 宇部市では、東北アジア地区での機械産業を中心とした海外交流を促進する目的で東北アジア地区10都市間で、「東北アジア機械産業都市連合」を結成しています。
 東北アジア機械産業都市連合には、日本から宇部市、大垣市の2都市、韓国から浦項市、昌原市、安山市の3都市、中国から威海市、無錫市、馬鞍市、渭南市の4都市、ロシアからコムソモリスク市が加盟しています。

図1:東北アジア機械産業都市連合加盟都市一覧
4. コムソモリスク市の紹介
 今回、東北アジア機械産業都市連合市長会が開催されたコムソモリスク市について紹介します。正式にはコムソモリスク・ナ・アムーレ市という名前です。市の名前は共産党の青年組織コムソモールが作った町という意味を持っています。人口は27万人で、製鉄業、航空機産業、石油産業、造船業が産業の中心です。場所は極東にあるハバロフスクから北方400Kmの、アムール川下流に位置する都市です。ソビエト連邦の軍事都市として建設された極秘都市でしたが、ソ連崩壊後、外国に解放されました。写真1はコムソモールの像、写真2、3はコムソモリスクの市街の様子、写真4はコムソモリスク市にあるロシア正教の教会です。
写真1:コムソモールの像 写真2:コムソモール市街の様子
写真3:コムソモール市街の様子 写真4:ロシア正教の教会
コムソモリスク市民は写真2のようなマンションやアパートに住んでいます。市内の交通手段としてはバスや路面電車、トローリーバスがあります。写真3から道路は片側三車線でした。またビルとビルの間隔は日本に比べ広く取ってありました。ロシア正教の教会は写真4のように屋根がスカイブルーでてっぺんには金色の装飾品が印象的でした。

5. 日程と参加メンバー
7月19日は市長会議、展示会、アムールメタル視察、晩餐会が行われました。
7月20日は石油精製工場、航空機会社の展示場見学、アムール川下りをしました。
7月21日はコムソモリスク教育大学を訪問しました。
7月22日はコムソモリスク工科大学を訪問しました。
 会議には、宇部市から岩本副市長、西山経済部長、山崎経済部職員、常盤商会の植村代表取締役、商工会議所の栗原所長、宇部高専の吉田先生、南先生、私の計8名が参加しまた。

6. 7月19日の活動
6-1 市長会議
 7月19日は市長会議、展示会、アムールメタル視察、晩餐会が行われました。会議には宇部市、コムソモリスク市、安山市、昌原市、威海市、大連市の6都市が参加しました。市長会議の会場に着くとウクライナの伝統的なダンスで歓迎されました。(写真5,6参照)写真6の真ん中の男性がコムソモリスク市長です。

写真5:ウクライナの伝統的なダンスによる歓迎

写真6:ウクライナの伝統的なダンスによる歓迎
写真7,8が会議の様子です。写真7が市長席、写真8が参加都市関係者の席です。我々宇部市の関係者は最前列の席でした。とても緊張しました。

写真7:会議の様子(市長席)

写真8:会議の様子(関係者席)
 市長会議では各都市の市長が演説をしました。まず、コムソモリスクの市長は、最初に「製鉄業、航空機産業、石油産業、造船業が産業の中心であり、それぞれの産業において優秀な技術者がいる、また優秀な技術者を学校で育成している。」と述べました。そして、「市では教育施設、スポーツ施設、文化施設も充実していて、市民が快適で健康的な生活を行えるようになっている。」最後に「今後も国際的に互恵的な協力をしていきたい。」と演説しました。写真9がコムソモリスク市長の演説の様子です。
 宇部市の岩本副市長は演説で産業発展に伴った環境問題に対する連携「産・官・学・民」いわゆる宇部方式についての説明をおこないました。次いで、新産業創出のための「産・官・学」の連携の重要さを強調し、宇部市は、コムソモリスク市との交流を深めるために宇部高専の教員、学生を同行していると話されました。

写真9:コムソモリスク市市長演説
 今回参加した6都市で一番国際協力に積極的な発言を行ったのは安山市です。安山市は人口75万人で、ソウルから30Km離れた所に位置しています。主要産業は機械電子産業です。安山市が分析した各国の産業の現状は、韓国が自動車部品、携帯電話、中国が一般機械、日本が通信設備、ロボット、ロシアがエネルギー産業、航空機が発展している。中国の市場が世界一の成長率をみせ、ロシア市場が急浮上しています。安山市が希望する国際協力はWin-Win戦略による協力体制の構築で、ロシアが基礎技術 、韓国が応用商品化技術 、日本は高付加価値部品素材が優れており、中国が低賃金労働力から脱皮した共同研究、開発、産業技術協力で協力する必要があると強く述べていました。
 それぞれの都市の市長の演説後、覚書調印式(写真10参照)がありました。調印式の後は6都市の市長の記念撮影(写真11参照)と関係者全員の記念撮影(写真12参照)を行いました。

写真10:覚書調印式

写真11:各都市市長の記念撮影

写真12:各都市関係者の記念撮影
6-2 展示会
 市長会議後、展示会が開かれました。写真13が宇部高専の展示の写真、写真14が宇部市の展示の写真です。
写真13:宇部高専のブース 写真14:宇部市のブース
 宇部高専はポスターを使い紹介をしました。左側のポスターは宇部高専の学科の構成、学習教育目標、JABEEについて説明しています。その隣は機械工学科の研究室の紹介、3番目は機械工学科の吉田先生の研究の紹介、一番右が機械工学科の藤田先生の研究の紹介になっています。宇部市は宇部市の紹介と宇部市の企業の製品の展示を行いました。常盤商会は、自社で生産している有機栽培ブルーベリーについて紹介していました。

6-3 アムールメタル見学
 アムールメタルの見学に行きました。(写真15、16参照)写真15はアムールメタルの外観です。写真16がアムールメタル工場内の様子です。日本の製鉄工場に比べ、アムールメタルの工場内部は、ほこりっぽく散らかっていました。

写真15:アムールメタル外観

写真16:アムールメタルの工場内部
6-3 晩餐会
 展示会、アムールメタル見学終了後、晩餐会に招かれました。晩餐会は劇場で催されました(写真17参照)。写真18は各都市の市長の席です。写真19は会議参加者の席です。おいしい料理と伝統的な歌や踊りで歓迎されました(写真20、21、22参照)。写真22はコムソモリスクの先住民族ナナイの伝統芸能です。
写真17:晩餐会会場の劇場 写真18:晩餐会(市長席)
写真19:晩餐会の料理(会議参加者席) 写真20:晩餐会の料理
写真21:ロシアの民謡 写真22:ナナイの踊り
7. 7月20日の活動
7-1 石油精製工場の見学
 午前中、石油精製工場を訪問しました。(写真23、24参照)
 この工場では、EU基準の最も厳しいランクのガソリンを生産できるように、1000億円の設備投資を行っています。また、やはり1000億円規模の投資を行って、樺太沖までパイプラインを引いて石油の輸送を低コストに抑える計画も実行中です。
写真23:石油精製工場外観 写真24:石油精製工場内部
7-2 航空機会社の展示場見学
 スホイというロシアの戦闘機や旅客機を製作する会社の展示場の訪問をしました。展示場で会社の歴史やロシアの戦闘機Suシリーズの進化、戦闘機に積まれている部品の紹介を聞きました。(写真25、26参照)写真25はスホイの最新型戦闘機Su35の模型で、写真26は戦闘機に積まれているミサイルランチャーです。
写真25:Su35の模型 写真26:ミサイルランチャー
7-3 アムール川下り
 午後はアムール下りをしました。写真27よりアムール川は日本の川と比較して川幅がとても広く中国から流れてきています。昔は遊泳可能でしたが近年、中国の工場廃水による汚染のために遊泳禁止になりました。写真28のようにアムール川を下ると川岸に雄大な自然を見る事ができます。
写真27:アムール川 写真28:アムール川
8. 7月21日の活動
 三日目はコムソモリスク教育大学を訪問しました。午前中はデザイン・経済・法学部のある校舎を見学し、外国語学科の学生と対談をしました。
 午後は寮・学校の施設の見学、今後の交流について学長、副学長を交えて会議を行い その後夕食をとりました。
8-1 デザイン・経済・法学部の校舎見学
 最初にデザイン・経済・法学部の校舎見学をしました。デザイン学部は写真29のようなナナイの民族衣装を作成したり、写真30のような木材、電子基盤、金属を合わせた作品を作成しています。作品は写真31のような旋盤やフライス盤で部品を加工して制作しています。
写真29: 教育大学学生の作品 写真30: 教育大学学生の作品

写真31: 工作機械
8-2 外国語学科学生と対談
 外国語学科の学生との対談に向かう途中の廊下で日本語専攻の学生の作品を観ました(写真32参照)彼らの書く字のほうが私の書く字より綺麗なのはショックでした。

写真32: 日本語専攻の掲示板
 写真33が教育大学の学生との対談の様子です。
 対談では学生から、宇部高専の特徴や、日本の学生の学校生活について質問されました。

写真33: 外国語学科の学生と対談
 写真34でわかるように男子学生は二人しかいません。この理由はロシアでは外国語の教師は女性の仕事であると考えられているからです。

写真34: 外国語学科の学生と記念撮影
8-3 施設見学
 昼食後教育大学の施設を見学しました。まず、最初に寮を見学しました。寮には学生寮と単身赴任の教師の寮がありました。学生寮の雰囲気は宇部高専の学生寮と同じでした。しかし、学生一人に一台テレビが完備されていました。写真35は教師の寮です。教師寮はホテルのような印象を受けました。体育館などや運動設備は大学や宇部高専と違いはありませんでした。しかし学生用のサウナ(写真36)や小劇場(写真37)がありました。小劇場では講演会や学生主催の劇などをやります。写真38はアムソフ教授です。アムソフ教授は情報系の先生で船舶のナビゲーションシステムの作成を行っています。アムソフ教授は2007年度の世界の教授100人に選ばれました。
C:\Users\yosida\Desktop\100_PANA\komsomolsk\P1000772.JPG
写真35: 教師の寮

写真36: サウナ

写真37: 小劇場

写真38:アムソフ教授
8-4 会議
 施設見学後は写真39の会議室で会議をしました。内容はお互いの学校の紹介と今後交流の進め方についてなどです。教育大学の日本語学科では、毎年3週間の日本研修を実施しているが、宇部高専でそれを受け入れてくれるかどうか打診されました。また日本語を教える教員を一ヶ月派遣できるかどうか聞かれました。

写真39:会議室
8-5 夕食
 会議後、吉田先生、南先生、教育大学の学長、副学長、アムソフ教授、クシーニア先生と夕食をとりました。
 写真40は右から教育大学の学長、吉田先生、南先生が写っています。写真41より右から副学長、クシーニア先生、アムソフ教授です。
写真40:夕食 写真41:夕食
9. 7月22日の活動
 四日目はコムソモリスク工科大学を訪問しました。午前中は研究室訪問と学生との懇談をしました。午後はダーチェの見学と夕食をしました。
9-1 研究室見学
 キム先生の研究室を訪問しました。キム先生は超音波による疲労の調査を研究しています。写真42で左の男性がキム先生です。写真43が超音波測定器、写真44が引張り試験機です。

写真42:キム先生と吉田先生

写真43:超音波測定器

写真44:引張り試験機
9-2 意見交換
 学生との懇談を行いました。写真45は意見交換に参加したメンバーとの記念撮影です。学生は私と工科大学の英会話部の学生四人とアメリカから遊びに来ていた、アレックスさんとリーダーさんが参加しました。英会話部の学生は後列左側の4人(女性3人、男性1人)です。アメリカから来た二人は後列の中央にいます。

写真45:意見交換後の記念撮影
 懇談では、英会話部の学生の活動内容や、将来どんな仕事に就きたいか等を話しました。英会話部はアメリカに行って英語で討論を行ったり、弁論大会に参加したりしています。アメリカから来た二人はロシアを訪れた後、一週間ほど日本に滞在し、九州の温泉巡りをするそうです。

9-3 ダーチェ見学
 午後はダーチェの見学をしました。ダーチェ(写真46参照)とはロシアの人が夏の休暇を過ごすための小さな別荘です。ダーチェでは畑を耕し野菜を栽培します(写真47参照)。この畑ではボルシチの材料を肉と調味料以外準備できます。

写真46:ダーチェ

写真47:ダーチェ裏の畑
9-4 夕食
 夕食では、お互いの学校の現状と今後についての意見交換や、ロシアで人気の日本製品の話などをしました。

10. 感想
 私は、コムソモリスクに訪問する前、ソ連の影響が残って、ロシア国民は、頑固で怖いイメージを持っていました。実際に会うと、やはりロシア人は真面目でした。しかし、皆、陽気で親切でした。
 コムソモリスク市の印象は道路や建物の間隔がとても広くゆったりしている町でした。郊外には多数の小さな湖や広大な森がありました。住みやすそうな町でした。
 今回の訪問で、私は英語があまり話せず、コミュニケーションがうまくとれませんでした。また、学校訪問では会話に積極的に参加せず消極的な態度をとってしまいました。今後、英会話能力の向上と積極的に会話に参加できるようにしたいです。

11. 現代GPに参加して
 現代GPに参加して自分の弱点を知ることができました。また、周りには先生や経験豊富な方々が多く相談でき、今後弱点をいかに克服するか考える機会になりました。
 日本にはない景色を見る事、そこに住んでいる人と話すことができました。
 宇部高専の掲げる国際的な技術者になるために学生は積極的に現代GPに参加するべきだと思いました。

Copyright (c) 2007 Ube National College of Technology. All rights reserved